徹底解説・シェンゲン協定とは??〜あらゆる期間の180日間のうち最大90日間の謎〜

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昔、ヨーロッパ旅行の計画を立てていた時に「シェンゲン」の文字をよく目にしましたが

ぶっちゃけ「なんか聞いたことある〜」レベルでしか知らない(つまりわかっていない)ので、

この機会に整理してみることにしました。

この記事は初代ブログから移管しました。移管にあたり、若干の加筆修正を行っています。
また、2019年当時の情報を元に執筆しており、情報が古い場合がありますのでご留意ください。

「日本語訳がおかしい」「そもそも理解・解釈が異なっている」
部分がありましたら教えてください。よろしくお願いします!

目次

シェンゲン協定とは

The free movement of persons is a fundamental right guaranteed by the EU to its citizens. It entitles every EU citizen to travel, work and live in any EU country without special formalities. Schengen cooperation enhances this freedom by enabling citizens to cross internal borders without being subjected to border checks. The border-free Schengen Area guarantees free movement to more than 400 million EU citizens, as well as to many non-EU nationals, businessmen, tourists or other persons legally present on the EU territory.

https://ec.europa.eu/home-affairs/what-we-do/policies/borders-and-visas/schengen_en

赤字部分のみ翻訳すると

「ボーダーフリーのシェンゲン圏は、EU領土における4億人以上のEU市民や、非EU市民、ビジネスマン、旅行者、その他の人々の自由な移動を保証します」とのこと。

シェンゲン協定に加盟している国々を移動する場合、国籍に関係なく国境での入国検査を受けずに通過できるものです。

1985年、ルクセンブルクにあるシェンゲンという村で「共通の国境における検査の段階的廃止」に関する協定が調印されたことが始まりです。

その後、1990年に協定を施行する調印がなされ、1995年から実施されるようになりました。

シェンゲン圏はここだ!

Map of the Schengen Area

画像はWikipedia – Schengen Areaから引用しています。

●この色:シェンゲン圏

●この色:海路・空路の出入国に関してのみ加盟

●この色:不参加だけど国境解放

●この色:参加が義務付けられているけど未参加

Rob984 [CC BY-SA 4.0], via Wikimedia Commons

協定参加国一覧

以下の26カ国が参加しています。(参加順)

EU加盟国=シェンゲン協定参加国というわけではない点に注意しましょう。

クリックで開きます
  1. ベルギー
  2. フランス
  3. ドイツ
  4. ルクセンブルク
  5. オランダ
  6. ポルトガル
  7. スペイン
  8. イタリア
  9. オーストリア
  10. ギリシャ
  11. デンマーク
  12. フィンランド
  13. アイスランド
  1. ノルウェー
  2. スウェーデン
  3. チェコ
  4. エストニア
  5. ハンガリー
  6. ラトビア
  7. リトアニア
  8. マルタ
  9. ポーランド
  10. スロバキア
  11. スロベニア
  12. スイス
  13. リヒテンシュタイン

メリット

パスポートなどによる出入国検査がないので、スイスイ国境を越えることができます。

入国の際、長蛇の列に並ぶ必要がないのです。

また、日本国籍保持者は短期滞在(90日まで)の場合、ビザは必要ありません。

正確には「あらゆる期間の180日間のうち最大90日間」です。

……

チョットソレ ドウイウイミ……?

もちろんパスポートは必須アイテムです。
10年以内に発行されたもので、シェンゲン圏を出国する予定日から少なくとも3ヶ月以上の有効期限が残存しているものが必要です。

あらゆる期間の180日間のうち最大90日間

わたしが一番知りたかったのはここ!あらゆる期間とは?!そのうちの90日間?!ホワッ?!

駐日欧州連合公式ウェブマガジンには次のように書いてありました。

過去180日以内の滞在日数はすべて(複数のシェンゲン参加国での滞在やトランジットでの通過、および帰国をはさむ複数回の訪問も)短期滞在の期間として通算されるということです。

「EU内の自由移動と査証について教えてください」http://eumag.jp/questions/f0614/

そういうことです。(雑)

シェンゲン圏内に何日か滞在してその後帰国(または非シェンゲン圏に滞在)した後

再びシェンゲン圏の国を訪問しようとするとき

シェンゲン圏入国予定日から遡って180日間の間にトータルで何日滞在しているかによって

滞在できる残り日数が変わってきます。

とはいうものの、180日間以内でトータル何日滞在したか分からない場合もあると思います。

そんなときに使える計算ツールがあります!!

計算ツールの使い方

Calculator of travel days remaining under a Schengen short-stay visaというツールです。

※あくまで目安として使用するツールなので、滞在可能日数を保証するものではありません。

2019/08/21撮影

各項目の説明

  • Date of entry/Control:今日の日付が自動入力される。以前の日付(ただし2013年4月22日以降)/未来の日付に変更可能。
  • Planning:未来の特定の日に許可される最長滞在期間を確認する。
  • Control:以前の滞在および/または進行中の滞在の長さを計算する。
  • Passport:チェックを入れると、5の日付入力欄が1列になります。入国・出国日のランダム入力が可能らしいですが、意味がわからなかったのでチェックを入れずに使用。
  • Enter previous stay(s) in the Schengen area:一番左に入国日、真ん中に出国日を入力。DDMMYYで入力。Calculateをクリックすると、一番右(小さめの四角)に自動計算された滞在日数が出力される。
  • Calculation results will display in this area.:この灰色の枠に計算結果が出力される。

実際に計算してみた

例として次のような日程を入力してみました。日付と国は独断と偏見で選びました。

なぜ3月にしたのか…それはわたしにもわからない…

  • 3月1日〜3月15日:オーストリア(入国)
  • 3月16日〜21日:スイス
  • 3月22日〜24日:リヒテンシュタイン
  • 3月25日〜4月4日:ドイツ(出国)
  • 5月21日にベルギー入国予定

入力

こんな感じで入力してCalculateをクリック!

2019/08/21撮影

結果

以下のような表示になりました。

2019/08/21撮影

90日以上のオーバーステイはありませんと表示されました。

オーストリア15日、スイス6日、リヒテンシュタイン3日、ドイツ11日のトータル35日

90日から35日を引くと55日分の滞在日数が残っているので

90日間分丸々滞在しようとすると

5月21日からは55日間、7月14日まで滞在することができます。

これが赤線を引いたPossible stay until 14/07/19の部分になります。

日付を変えてみる

ではDate of entry/Control欄を5月21日(過去)ではなく、9月1日(未来)にしてみると…

2019/08/21撮影

結果の表示が変わり、

  1. Start of 90 days period: 04/06/19
  2. Start of 180 days period: 06/03/19

上記のように二種類の日付が出てきました。

その下には緑色の文字で「滞在は最大90日間許可されます」と書いてあります。

1は90日間の開始日、2は180日間の開始日になります。(THE★直訳)

コレ ドウイウイミ…???(2回目)

わかりにくいのでMac標準ツールのカレンダーをスクショしたものでご説明します。笑

2019/08/21撮影

●この色:3月1日〜4月4日までの滞在(35日間)
●この色:9月1日(入国予定日)
●この色:9月1日から90日遡った場合の開始点
●この色:9月1日から180日遡った場合の開始点
赤の丸(8月21日)は今日の日付なので気にしないでください!

Start of 180 days period: 06/03/19

先に180日:3月6日から説明しますね!

入国予定日の9月1日から180日間遡る場合に、どこから滞在日数の計算をしなければならないか、というのがこの日付です。

3月6日まで遡ってみると、オーストリア滞在中でした。

というわけで3月6日から4月4日までの30日間を滞在日数としてカウントします。

90日から30日を引いて、9月1日から滞在できるのは60日間…

と思いきや!!(!?)

10月には3月の滞在26日分が消滅

11月には4月の滞在分4日分が消滅するので

結果30日分が復活します。

そんなわけで、9月1日から11月29日まで90日間滞在できるのです。まじかよ。

試しに計算ツールで、PlanningからControlに変えて計算してみると

2019/08/21撮影

Possible stay until 29/11/19

と表示されました。マジじゃん……

Start of 90 days period: 04/06/19

次は90日:6月4日なのですが…

以下のように解釈しました。(理解できているか超不安)

9月1日から11月29日まで滞在可能ということから逆算して考えてみることに。

11月29日から180日間遡ると6月4日が起点となるので

6月4日以降にシェンゲン圏に滞在していた場合

9月1日以降のシェンゲン圏滞在日数が減ることになるのでは?と考えました。

またまた試しに6月4日〜10日(7日間)という日程を追加入力したところ

2019/08/21撮影

最大許可日数が7日減って83日間になりました!

つまり9月1日から滞在する場合の滞在日数増減に影響する起点日

今回の場合は6月4日になるということ…で合ってるかな?!

90日を超えて滞在する場合は

就労や留学などで長期滞在を目的として渡航する場合は、

長期滞在ビザ(いわゆるDビザ)を申請します。

Dビザは、一般的に一つの国しか適用できません。

では旅行の場合は???(普通の旅行だったら90日超えないか…)

外務省ホームページに気になる文章を見つけました。

我が国は,各シェンゲン領域国との間で,二国間のビザ免除措置に関する枠組みを有していますが,現在,シェンゲン領域における域外国国民の短期滞在に関する措置の状況は流動的であることから,シェンゲン領域を長期間訪問する予定のある方は,十分な注意が必要です。

シェンゲン領域を180日以内に90日を超えて訪問する(複数のシェンゲン領域国を訪問し滞在期間が90日を超える場合や,シェンゲン領域をトランジットで通過する場合を含みます。)方は,事前に,渡航予定国の措置に関する情報を各国の政府観光局や我が国に存在する各国の大使館に問い合わせて確認することをお勧めします。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page4_000122.html

例えばスイスだと、日本国籍保持者は長期滞在ビザの申請が不要です。

オーストリアでも6ヶ月を超えない滞在はビザが不要です。

90日を超えて滞在する場合は

あらかじめ各国のビザ要件について確認しておいたほうが良さそうですね。

おわりに

おわかりいただけただろうか………

軽い気持ちでシェンゲン協定について調べ始めたのですが、

自分の無知を晒す結果になりました。笑

絶対にもっと良い説明方法があると思うのですが(特に90日起点の部分)

いまの自分ではこれが精一杯でした。

おかしなところがあったらご指摘いただけると嬉しいです!

参考サイト

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